共通テストの成績名称は「大学入学共通テスト」で、各大学が独立行政法人「大学入試センター」と共同で実施する試験です。2020年度入試まで30年にわたり実施されてきた「大学入試センター試験(以下、センター試験)」の後継にあたる試験で、2021年度入試が初の実施となります。センター試験と同様、毎年1月中下旬の土・日曜の2日間に全国で一斉に実施される、日本最大規模の試験といえるでしょう。
国公立大学の一般選抜受験者は、原則共通テストを受験しなければなりません。また、多くの私立大学でも共通テストの成績を利用する「共通テスト利用方式」を設定しています。大学進学を考える受験生にとって、この共通テスト対策は必須といっても過言ではありません。
共通テストは、センター試験における良問の蓄積を受け継ぎつつ、知識の理解の質を問う問題や、思考力・判断力・表現力を発揮して解くことが求められる問題を重視して作問されます。具体的には、授業において生徒が学習する場面や、日常生活の中から課題を発見し解決方法を構想する場面、複数の資料やデータ等をもとに考察する場面など、「どのように学ぶか」を踏まえた問題の場面設定が重視されます。また、これまでに身に付けた知識の理解や思考力を発揮できるかを問うために「教科書で扱われていない初見の資料等」を扱うことも想定されます。
共通テストの解答形式は、センター試験同様に「マーク式」のみですが、「解答が前問の解答と連動して正答の組み合わせが複数ある問題(連動型問題)」や「複数の解答を含んだ選択肢を用意する問題」など、新しい形式のものが出題される見込みです。
共通テストの出題科目は、国語・地理歴史・公民・数学・理科・外国語の6教科30科目で構成されます。この中から、最大8科目(理科①を選択した場合は9科目)を受験できます。受験生は、志望大学が指定する教科・科目を選択して受験することになります。それぞれの試験時間帯で受験できる科目は、地理歴史・公民と理科は最大2科目(理科①を選択した場合は3科目)、そのほかの教科は1科目となっています。
教科 | 科目 | 配点 | 試験時間 | 選択方法 | |
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国語 | 『国語』 | 200点 | 80分 | ||
地理歴史 | 「世界史A」 「世界史B」
「日本史A」 「日本史B」 「地理A」 「地理B」 |
1科目 100点 2科目 200点 |
1科目選択
60分 2科目選択 130分 (うち解答時間120分) |
10科目から最大2科目を選択解答する(同一名称を含む科目の組合せは不可)
受験科目数は出願時に申請 |
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公民 | 「現代社会」 「倫理」
「政治・経済」 『倫理,政治・経済』 |
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数学 | ① | 「数学Ⅰ」 『数学Ⅰ・数学A』 | 100点 | 70分 | 2科目から1科目を選択解答する |
② | 「数学Ⅱ」 『数学Ⅱ・数学B』
『簿記・会計』 『情報関係基礎』
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100点 | 60分 | 4科目から1科目を選択解答する | |
理科 | ① | 「物理基礎」
「化学基礎」 「生物基礎」 「地学基礎」 |
2科目
100点 |
2科目選択
60分 |
8科目から下記のいずれかの選択方法により科目を選択解答する
A 理科①から2科目 B 理科②から1科目 C 理科①から2科目及び理科②から1科目(同一名称を含む科目の組合せも可) D 理科②から2科目 選択方法は出願時に申請 |
② | 「物理」
「化学」 「生物」 「地学」 |
1科目
100点 2科目 200点 |
1科目選択
60分 2科目選択 130分 (うち解答時間120分) |
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外国語 | 『英語(リーディング、リスニング)』 |
各100点 計200点 |
英語 リーディング80分 リスニング60分 |
5科目から1科目を選択解答する | |
『ドイツ語』『フランス語』 『中国語』『韓国語』 |
200点 |
その他 80分
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※「国語」は「国語総合」の内容を出題範囲とし、近代以降の文章(100点)、古典(古文50点、漢文50点)を出題
※「地理歴史および公民」「理科②」の2科目選択者の試験は、解答順に第1解答科目・第2解答科目に区分し、各60分で実施する。試験時間130分には第1・第2解答科目間の答案回収等の時間10分を含む
※「英語リスニング」の解答時間はおよそ30分、試験時間60分には機器の動作確認等の30分を含む
「数学」では、数学①(数学Ⅰ、数学Ⅰ・数学A)の試験時間は70分と、数学②(数学Ⅱ、数学Ⅱ・数学Bなど)と比べて10分長くなります。数学①では数学的な問題解決過程を重視するとしており、そのための「考える時間」を考慮した時間設定となっています。
外国語の「英語」の受験者は、「リーディング(センター試験時の「筆記」から改称)」と別時間に実施される「リスニング」の受験が必須となっています。共通テストでは、「リーディング」と「リスニング」の配点がそれぞれ100点となり、センター試験時と比べて「リスニング」の配点比重が高くなることが大きな特徴です。ただし、各大学が成績を利用する際には、配点比率を自由に決めることができるため、センター試験時と同じ4:1の比率を維持する大学や、共通テストの配点通り1:1の比率とする大学など、対応は分かれています。
なお、共通テストでは、出題や受験の際に注意すべき点があります。次ページでこれらについて確認してみましょう。