各大学の入試は、文部科学省が公表する「大学入学者選抜要項」に則って実施されます。この実施要項は、いわば大学入試のルールブックといえるもので、共通テストが実施される2021年度入試から新たなルールに見直されます。

 一般選抜では、これまで教科試験中心の入試となっていたものを、「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度(主体性等)」を評価する入試へ転換するため、「調査書」や「志願者本人が記載する書類」「面接」「集団討論」「プレゼンテーション」などを積極的に活用することが促されています。

 

 国公立大学では、主体性等を評価するために「調査書」や「志願者本人が記載する書類」などを活用する動きが活発です。「調査書」については、面接と合わせて評価したり、点数化して合否判定に利用するなどの活用方法がみられます。また、合否ラインで志願者が同点で並んだ場合や、合否ライン付近の志願者に対してのみ調査書等の得点を加点して合否判定するケースもみられます。ただし、点数化して活用する大学の多くは、配点全体に占める得点の割合は大きくはありません。「志願者本人が記載する書類」についても、すでに教育系、医療系などを中心に、志望理由書やエントリーシート等の提出を求める大学が増えてきていましたが、2021年度入試を機にさらに拡大の様相をみせています。志願者本人が記載する書類の分量は、大学によりさまざまで、作成に時間を要するものも少なくありません。出願前に慌てて作成することのないよう、予め準備しておくようにしましょう。

 

コラム~アドミッション・ポリシーを読んでみよう~ 

アドミッション・ポリシーとは、各大学が公表を義務付けられている「入学者受け入れ方針」のことです。学力の3要素について具体的に求める学力(能力)とその力を測る評価方法・比重などを提示することが求められています。
例えば、「個別試験で課す『総合問題』では、学力の3要素のうち「知識」「思考力」を評価、『集団面接』では『主体性・協働性』を評価する」といったように、選抜方法に対して評価する学力の関係性を明示する大学もみられます。
今後は、さらに「どのような水準を求めるのか」「どのような比重を置いて評価するか」といった点など、より具体に踏み込んだ内容の公表が予測されます。志望大学のアドミッション・ポリシーには必ず目を通しておきましょう。面接や志望理由書等の準備をする上でも、参考になるはずです。

 

 グローバル化が急速に進展するなか、英語のコミュニケーション能力を重視する観点から、大学入試においても4技能(読む・聞く・書く・話す)の評価が促されてきました。とはいえ、各大学が実施する英語試験において、4技能すべてを測る試験を実施するのは負担が大きいため、4技能を評価している実用英語技能検定(英検®)、ケンブリッジ英語検定といった民間の英語資格・検定試験を活用する動きが拡大しています。

国公立大学の一般選抜では、全体の約1割が英語資格・検定試験を活用しています。英語資格・検定試験の活用方法は、「出願要件として用いる」、「合否判定に利用する」の2タイプに大きく分かれます。国公立大学では、「成績に応じて個別試験または共通テスト英語の成績に加点する」「基準以上の成績を有する場合、共通テストの英語を満点とみなす」など、英語資格・検定試験の成績は必須ではなく、保持していれば合否判定の際に優遇されるケースが一般的です。なお、2021年度入試で英語資格・検定試験の成績を出願要件として用いる大学は、2大学(東京海洋大学(海洋生命科学、海洋資源環境、海洋工-前・後期)、兵庫県立大学(国際商経-グローバルビジネス後期))となっています。

※2020年度入試のもの(河合塾調べ)