大学生になるにも、大学生活を送るにもお金がかかります。そんなとき頼りになるのが奨学金です。近年、奨学金の利用を希望する人が増えています。これに呼応するように、大学独自の奨学金制度もよく見られるようになりました。それぞれ支給対象となる資格や条件が違うので、よく見極めて自分にあった奨学金制度を検討しましょう。
奨学金制度は、経済的な制約で将来への希望を断念することがないように設けられています。上手に利用して自分の夢をかなえてください。
日本学生支援機構奨学金
2020年4月入学者から国の新しい修学支援制度が始まります。返済の必要がない新しい「給付型奨学金」です。経済的な理由により進学や修学の継続を断念することのないよう、世帯の所得金額や学校区分、通学形態により定められた金額が原則毎月支給されるほか、授業料等が減免されます。
学力基準・家計基準で選考されるほか、国等から給付奨学金の対象となることの確認を受けた学校に正規の学籍で在籍することが条件となります。なお、国公立大学ではすべての学校が、私立大学では9割以上の大学が対象となっています。自分の志望校が対象校であるかは、文部科学省のHPから確認できます。
国公立 | 私立 | ||
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給付月額 | 第Ⅰ区分※1 |
自宅 26,200円 自宅外 66,700円 |
自宅 26,200円 自宅外 66,700円 |
第Ⅱ区分※2 |
自宅 19,500円 自宅外 44,500円 |
自宅 26,200円 自宅外 66,700円 |
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第Ⅲ区分※3 |
自宅 9,800円 自宅外 22,300円 |
自宅 26,200円 自宅外 66,700円 |
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学力基準 |
下記のいずれかに該当する者 1.高校等における全履修科目の評定平均値が5段階評価で3.5以上であること 2.1に該当しない場合、将来社会で自立し、および活躍する目標をもって進学しようとする大学等における学修意欲を有すること (学修意欲の確認は、高校等において面談の実施またはレポート提出等により行う) |
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家計基準 (給与所得の場合)※4 |
第Ⅰ区分 |
271万円 |
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第Ⅱ区分 |
303万円 |
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第Ⅲ区分 |
378万円 |
※1 本人と生計維持者の市町村民税所得割が非課税であること
※2 本人と生計維持者の支給額算定基準額の合計が100円以上25,600円未満であること
※3 本人と生計維持者の支給額算定基準額の合計が25,600円以上51,300円未満であること
※4 標準4人世帯の場合。家計支持者の年収・所得金額等から特別控除額等を差し引いた金額の上限額の目安
「給付型奨学金」の受給対象とならなかったとしても、貸与型奨学金(大学卒業後、お金を返済しなくてはならない)があります。奨学金制度のなかで最も一般的で、日本の大学生の2.7人に1人が利用しています。この奨学金は、学業成績と経済状態の2つの基準を満たしていることが採用の条件となっています。無利子で貸与される「第一種」と、有利子の「第二種」の2種類があり、基準を満たせば両者の併用も可能です。
申込みは進学した学校を通して行い、
大学名 | 学部名 | 方式・制度 | 特典・出願資格・選抜方法 | |
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お茶の水女子大 | 全学部 | みがかずば奨学金 | 特典 | 1・2年次各30万円 |
選考 | 以下の資格を満たす者(採用者数25名)
・一般入試、AO入試、推薦入試、高大連携特別入試での入学予定者(現役生対象) ・成績・人物とも優秀(調査書の学習成績概評がA以上)で、大学進学において経済的支援が必要と認められる者 ※奨学金の申請は9月上旬~中旬、審査を10月に行い奨学金の内定を通知(奨学金の内定は合格を保証するものではない) |
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東京大 | 全科類 | 授業料免除 | 特典 | 授業料全額または半額を免除(2年次以降も定められた成績基準を満たせば継続可能) |
選考 | 家計評価額がゼロ円以下の者 |
※家計評価額:総所得金額(給与所得+その他所得)―特別控除額―収入基準額
総所得金額が218万円以下(給与収入のみの場合は400万円以下)の場合は、家計基準による選考のうえ、全額免除されることがある東京学芸大教育教職特待生制度特典①入学料および授業料を免除(4年間)
②教職奨学金40万円を貸与(卒業後、教員または保育士(いずれも正規採用)に4年間就いた者は返還を免除)
③学寮へ優先入寮および寄宿料免除
④必携のノートパソコンを無償貸与(4年間)
⑤学内での教育関連のアルバイト等の紹介
選考学校教育系の課程の一般入試(前期日程)に出願する者または推薦入試・高大接続プログラム特別入試の学校教育系の合格者で、次の要件を全て満たす者。書類選考で選ばれた者に面接を実施する。
採用は10名程度
・将来学校教員(保育士含む)になる意志の強い者
・家庭の年収(給与年収)が概ね300万円以下(自営業所得の場合は概ね148万円以下)
・高等学校等の成績が優秀な者(学校成績概評がA以上)
広島大全学部フェニックス奨学制度特典入学料と在学中の授業料全額免除および奨学金給付(月額10万円)、本学大学院に進学した場合は、奨学生として継続支援選考学力が優秀でありながら経済的理由により進学が困難な一般入試(前期)・AO入試(総合評価Ⅱ型)の受験者のうち、以下の基準を満たす者(10名程度)
①大学入試センター試験成績が、志願する学部・学科の大学入試センター試験配点合計の80%以上
②経済的困窮度の基準
前年(平成26年1月~12月分)の総収入金額を対象とし、世帯員全員の年収・所得の合計金額から定められた特別控除額(家族構成、家庭事情等により異なる)を差し引いた金額が、本学で定めた収入基準額以下であること
自治医科大医修学資金貸与制度特典入学者全員に対して入学金など学生納付金を貸与
選考※大学卒業後、引き続き、第1次試験の試験地の都道府県知事が指定する公立病院等に医師として勤務し、その勤務期間が修学資金の貸与を受けた期間の2分の3に相当する期間(その勤務期間のうち2分の1は、知事が指定するへき地等の指定公立病院等に勤務する)に達した場合は返還を免除慶應義塾大全学部学問のすゝめ奨学金特典年額60万円(医学部は90万円、薬学部薬学科は80万円)を給付。毎年の申請・審査により2年目以降も継続受給が可能選考入学を強く志望する日本国内(東京・神奈川・埼玉・千葉以外)の高校等出身者で、人物および学業成績が優秀であるにもかかわらず、経済的理由により入学に困難を来たしている受験生の中から学業成績、家計支持者の年収関連、推薦内容等に基づき候補者を決定。学部を問わず地域ブロック単位で実施
北海道・東北、北関東・甲信越ブロック・・・各12名、北陸・東海ブロック・・・21名、近畿ブロック・・・19名、中国・四国ブロック・・・28名、九州・沖縄ブロック・・・15名
早稲田大全学部めざせ!都の西北奨学金特典年額40万円を支給(4年間)選考首都圏以外の国内高校出身で、家計支持者の「最新の所得証明書」記載の収入・所得金額が給与・年金収入金額(課税前)800万円未満の者、または、事業所得金額が350万円未満の者のうち、一般入試またはセンター利用入試の出願前または出願期間中に奨学金を申し込んだ者を対象に書類審査を行う。採用候補者は、上記入試に合格・入学することで正式採用となる(1,200名程度)同志社大全学部同志社大学奨学金(入学前募集)特典年額授業料相当額の1/2を給付(1年間)選考入学試験合格者で、一定の家計基準を下回っている者(採用数140名程度※前年度実績)立命館大全学部入学試験受験前予約採用型奨学金特典入学金を除く年間授業料の50%相当額を給付(4年間、薬学部薬学科のみ6年間)選考一般入学試験(センター試験方式を含む)を受験する者で、2014年父母または父母に代わり家計を支える者の年間収入の合算金額が給与・年金収入金額(課税前)の場合は600万円以下、その他事業所得金額の場合は197万円以下の者(採用候補者数400名以内)
※特典:特典の内容、選考:採用人数・出願資格・選抜方法等
このほか、民間育英団体による奨学金制度や新聞社を母体とする新聞奨学会が運営している新聞奨学金制度などがあります。
民間育英団体の奨学金
企業や個人の設置する奨学金で、応募基準・条件などは制度ごとに異なります。支給方法や支給金額もさまざまです。募集窓口は大学となっていることが多いので、自分の志望校で受けられるか確認しておきましょう。
新聞奨学金制度
各新聞社が設立した奨学会が運営する奨学金制度です。学生が新聞配達業務に従事することで、新聞社が学費などを奨学金として支給または貸与します。奨学金とは別に給与や賞与が支払われ、住居も無料で提供されるのが一般的です。細やかな条件や業務内容は新聞社によって異なります。